スタンダードは、基本性能をバランスよく搭載する標準モデルです。サイズバリエーションも豊富、軽カーからコンパクトカー、ミドルセダンやミニバンまでターゲット層は拡大しています。
更にコストパフォーマンスにも優れ、購入しやすいカテゴリーとして評価されています。ただ飽くまでも基本性能が特筆すべき点であり、際立った方向性の高さを求めることは難しいと考えます。タイヤが持つ発進・停止・曲がるにプラスして、快適性の基本性能を標準レベルで発揮すると理解します。
飽くまでも起点としての役割が特徴です。従って製品自体の差が少ない、要はメーカー間による性能差が拮抗しているとも言い換えられるかと。それでもメーカー主張は独自性に拘り、様々なアピール展開が見られます。
標準性能重視ながらも運動性能の高さを主張する、また快適性の良さを最大アピールにしている製品も見られます。共通するのは低燃費、普及の性能要件となりこれだけは外せない。
車種フォローの大きさを謳うからこそ基本性能は大変重要です。この実現でタイヤとクルマのバランス均衡が取れ快適な走行が可能になります。
スタンダードカテゴリーへのメーカー施策
スタンダードタイヤの対象は上述の通りながら、ミニバンやそれを超える車種も対象にする、と謳われるケースが見られます。よりフォロー範囲の広さを訴え製品特徴に繋げるのが狙いでしょう。
しかしながら、特性から得られる満足は軽カーやコンパクトカー、ミドルセダンあたりまで。これを超える装着は、タイヤ個々の性能に対して満足が上がらないケース多いと感じます。
スタンダードは、ラベリング制度のグレーディング追求でコンフォートには及ばず、そこそこに抑えられているのが現状。基本性能の訴えに終始、その分サイズラインアップの豊富さを誇ることで選びやすさをアピールします。またコスト的に安価なのが実は最大の特徴にもなります。
これによりボリューム展開が可能となり、ホイールとのセット販売など訴求品として露出が高まります。
製品ラインアップは比較的充実していると言えるのでは。ただ従来のスタンダード専用ブランドから、コンフォートに沿うケースが主となる新たな展開を感じています。
そんな中、国内メーカーと海外メーカーでは捉え方には違いが生じています。グッドイヤーこそ「E-Grip」シリーズが投入されるも、ミシュラン、ピレリ、そしてコンチネンタルはこのカテゴリーへの意欲が低迷しているのは何とも寂しい限りです。
結果として国内メーカーの圧倒的優位性が目立つばかり。海外メーカーの積極性を大いに望んでいます。海外メーカーの軽/コンパクトカーへの装着は相当格好いいと思うのですが‥
スタンダードラインアップ
まずは2020年に投入されたグッドイヤー「EfficientGrip ECO EG02」です。2015年の「EfficientGrip ECO EG01」投入から6シーズン目でフルチェンジしました。まぁまぁ既定通りと言っていいかと。
ダンロップ「エナセーブ EC204」は7シーズン目になります。従来品「エナセーブ EC203」から従来の長持ちを更に強調、トータルライフを謳います。
トーヨー「SD-7」も7シーズン目。低燃費性能と耐摩耗性能を高次元で両立した新スタンダードを謳います。これには軽/コンパクトカー専用「SD-k7」も同時展開されています。また2016年登場の「NANOENERGY 3 PLUS」は、新材料設計技術Nano Balance Technologyを駆使、従来品「NANOENERGY 3」を越える性能進化を訴えます。
ヨコハマは「BluEarth AE-01F」を筆頭に3銘柄を投入します。新たな「BluEarth-Es ES32」は、割り切りで下位に位置付けます。しかしながら、BluEarthテクノロジーを投入しているしラベリング制度のグレーディングからしても従来を大幅に向上。ここは非常に興味のあるところです。
そして注目のブリヂストンからは「NEXRY」、2013年の発売で到頭10シーズン目を迎えました。それでもこのカテゴリーでは最大興味を維持。その上に新ブランドを謳う「NEWNO」を投入。ワンランク上の基本性能とロングライフを兼ね備えているのが最大の主張点。全サイズ低燃費タイヤとして転がり抵抗係数「A」、ウェットグリップ性能「b」を実現します。
スタンダードタイヤ性能比較
ブリヂストン
NEWNO はスタンダードの新ブランド、「NEXTRY」の後継。ワンランク上の基本性能とロングライフを兼ね備えているのが最大の主張点。全サイズ低燃費タイヤとして転がり抵抗係数「A」、ウェットグリップ性能「b」を実現。
同社独自の基幹技術である ナノプロ・テック を採用。発熱でのエネルギーロスを抑制し、基本性能を犠牲にすることなく転がり抵抗を低減する。サイズ設定範囲に拡大性を持たせ、多くの車種フォローを可能としている。
ヨコハマ
「BluEarth AE-01」をリニューアル、最高グレーディング「AAA」へ進化、ウェットグリップ性能は「c」を維持。従来品比較データからはその他性能も向上している。トータル性能は見た目以上に進化を遂げる。
低燃費タイヤとして転がり抵抗係数が「AA」、ウェットグリップ性能が「c」を実現。「AA」の低燃費タイヤをもっと身近に をテーマにしている。BluEarth は使う人の視点から考えたタイヤづくりを進めるグローバルコンセプト。
「BluEarth AE-01F」がスタンダード上位、従い「BluEarth-Es ES32」はスタンダード下位へ位置付ける。但しBluEarthテクノロジーを投入し従来を大幅に向上。優れた低燃費性能やウェット性能を保持する点に注目。
ダンロップ
耐偏摩耗性能16%と耐摩耗性能4%の向上を謳い従来の長持ちから更に発展性を持たせたトータルライフへ進化。ラベリング制度は全サイズで転がり抵抗係数「AA」、ウェットグリップ性能「c」を実現。エナセーブ「EC」シリーズの熟成を極める。
トーヨー
トーヨーもプラス(PLUS)進化を果たす。コンパウンド系の新採用により、転がり抵抗係数「A」を維持しながらも、ウェットグリップ性能を従来の「c」から「b」にグレードアップ。従来品を越える性能進化を訴える。
「NENOENERGY」はトレッドコンパウンドにナノレベルでゴムの材料開発を制御する技術 Nano Balance Technology を駆使したタイヤ。「NANOENERGY 3」においてもこの継承が特徴となる。シリーズのエントリーモデルとして登場。
従来品「TEO plus」の後継。低燃費性能と耐摩耗性能を高次元で両立、ラベリング制度の転がり抵抗係数「A」、ウェットグリップ性能「c」を実現した新スタンダード低燃費タイヤ。軽・コンパクトカー向けに「SD-k7」を同時発表。
ファルケン
転がり抵抗係数「A」、ウェットグリップ性能「b」もしくは「c」のグレーディング。これにより従来よりも転がり抵抗を14%低減し、ウェットブレーキング性能も13%の向上を果たす。ハイドロプレーニングも7%の向上だ。
グッドイヤー
新開発のコンパウンドを採用、高次元の低燃費性能とロングライフ性能を強調。従来品比較では残溝1.6mmまでの推定走行距離が8%の向上。転がり抵抗テストも3%の低減うを実現する。転がり抵抗係数が全42サイズ中32サイズで「AA」を実現する。