ダンロップの住友ゴムでは、従来品「エナセーブ NEXTⅡ」の後期となる「エナセーブ NEXTⅢ(エナセーブ ネクスト スリー)」を発売するという。サイズは 195/65R15 91H の1サイズのみ。2019年12月1日から発売開始です。2019年10月24日から開催の第46回東京モーターショー2019でお披露目されています。
シリーズは2014年9月に第1弾「エナセーブ NEXT」を発売。ラベリング制度で転がり抵抗係数「AAA」、ウエットグリップ性能「a」を実現した「エナセーブ」のフラッグシップ低燃費タイヤを強調。従来から50%転がり抵抗低減タイヤとして2008年に開発を開始、2013年の東京モーターショーでプロトタイプとして公開されました。
第2弾は2016年11月に投入された「エナセーブ NEXTⅡ」、ラベリング制度の最高グレーディングを維持する転がり抵抗係数「AAA」とウェットグリップ性能「a」を達成しつつ、耐摩耗性能を従来品から51%向上させたダンロップ史上かつてない低燃費タイヤを強調するものです。
そして今回、「NEXTⅢ」の最大主張はラベリング制度の最高グレーディング維持は当然とし、従来よりもウェットグリップ性能の低下半減を謳います。「NEXTⅡ」と「NEXTⅢ」双方新品時と20,000㎞走行後でウェットブレーキ試験(初速度100㎞/h、水深1㎜のアスファルト路)を実施、その結果「NEXTⅡ」が10%低下に対して「NEXTⅢ」は5%低下。これにより半減が根拠付けされることに。
元来、「エナセーブ NEXT」シリーズはメーカーとして高度な技術披露が主たる目的になる製品かと。その為に1サイズのみの展開でボリューム販売は求めていないはず。このあり方は他国内メーカーでも行われています。
例えばブリヂストン「ECOPIA EP001S」、ヨコハマ「BluEarth-1 EF20」、トーヨー「NANOENERGY 0」などがそう。ラベリング制度で転がり抵抗係数「AAA」、ウエットグリップ性能「a」、いわゆる「AAA/a」の実現を強調するのが狙いでした。そこには先進素材を含め高度な技術が注ぎ込まれることで実現を果たしています。
しかし2010年に低燃費タイヤが出現し、黎明期こそ最高グレーディングが高性能の最大主張として受け入れられたものの10シーズン目に到達した今、そこはタイヤへの基本姿勢へ立ち戻ります。それが耐摩耗性であったりウェットグリップであったり、ということかと。
ただ低燃費タイヤのグレーディング最高レベル実現は、既存の規格において最大高性能のひとつであることは紛れもない事実です。これに新たな付加価値を求めたのが「エナセーブ NEXTⅢ」ということになるかな。
因みにブリヂストン「ECOPIA EP001S」、ヨコハマ「BluEarth-1 EF20」、トーヨー「NANOENERGY 0」は2012年、2013年の発売以降新たな進化には至っていません。ここへの興味、主張は薄らいでしまった、ということ?
搭載技術
「エナセーブ NEXTⅢ」は、SMART TYRE CONCEPT の主要技術を採用した第1弾でもあります。SMART TYRE CONCEPT とは、摩耗、経年による性能低下抑制など新品時の性能を長く持続させる 性能持続技術 や、商品ライフサイクル全体で環境性能を高め循環型社会実現に寄与する ライフサイクルアセスメント(LCA) を採り入れた製品開発のこと。
従来までタイヤに用いていたポリマーとは全く異なる 水素添加ポリマー を採用し、ウェットグリップ性能の低下半減を実現します。また セルロースナノファイバー を世界で初めてタイヤ用ゴムに採用、最高グレーディング「AAA/a」を達成しています。これれは LCA の観点から環境負荷低減に貢献できるものだという。
少し難しいけれど、いろんな意味で社会貢献が可能なタイヤ、と言いたいのかな?