ミシュランが新たなスタッドレスタイヤを発売するという。「X-ICE SNOW(エックスアイス スノー)」シリーズがそれ。シリーズとしたのは乗用車用「X-ICE SNOW」とSUV用「X-ICE SNOW SUV」を同時展開する為です。
発売サイズは「X-ICE SNOW」が 255/40R20 101H ~ 155/65R14 75T までの49、「X-ICE SNOW SUV」が 285/45R22 114T ~ 215/70R16 100T までの35、合計84をラインアップします。発売日は2020年8月11日から順次。
現行「X-ICE3+」は2017年8月投入なので実質3シーズンでメインを譲ることになります。ミシュランのポリシーである ミシュラン・トータル・パフォーマンス を受け継ぎ、従来品「X-ICE XI3」からアイスブレーキング性能4.5%向上を謳いました。
そして「X-ICE SNOW」はコンパウンドとパターンを一新、「X-ICE3+」から更にアイスブレーキ性能を9%、雪路ブレーキ性能を4%それぞれ向上したという。近年飛躍的に向上したアイス性能の強調姿勢を示します。そのターゲットは国内メーカーでしょ。ブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ!
国内で最初にスタッドレスタイヤを発売したのがミシュラン、1982年に波型傾斜サイプを採用した「XM+S100」でした。そこから38年の歴史に自信を示すも、近年は国内メーカーの圧倒的なボリューム販売に屈します。
理由の一つに挙げられるのは国内事情。そう冬環境の厳しさから、多彩な路面環境の変化に対応した国内メーカーの専用性に及ばない、という一般的見方があるためかと。そこでミシュランが主張するのは北海道の士別にある開発センターで開発が進められたということ。日本の冬に対応出来る製品であることを強調しています。
それにしても3シーズンで見切りをつけたのには正直驚きました。前作のタイミングは「X-ICE XI3」が2012年9月発売、そして「X-ICE3+」は2017年8月発売ですので実質5シーズン。ある意味このタイミングで同時開発に取り組んでいた、という見方も出来そう。
まぁ厳密には「X-ICE3+」はプラス進化に値するかと。パターンは従来を踏襲しコンパウンドの進化が主たる変更点でした。しかし今回はパターンとコンパウンド双方をフルチェンジだし相当期待していいのでは。
またSUV専用の「X-ICE SNOW SUV」をシリーズ展開するのもようやく感が漂います。個人的には乗用車用「X-ICE SNOW」よりもこっちに興味あり。というのも従来品「LATITUDE X-ICE XI2」は2010年9月発売で10シーズンも前の製品です。これが現行と言われても全く持って他製品との競争力は失っています。従って数年前から対象外になる捉え方もあったかと‥
近年はSUVの車種人気も相まって市場拡大が期待されます。そこに投入される最新化した「X-ICE SNOW SUV」は興味を得られる可能性大きい。
ただシリーズはパターン、コンパウンドを共通化します。サイドに刻まれる名称が「X-ICE SNOW SUV」になるのみだという。SUVは車重が重く、重心が高い特性ながらそれでも頼りなさを感じることはないと自信を示します。ベース自体が高剛性化しておりミニバンを含め車種フォローに長ける性格を保持しているのでは。
搭載技術
「X-ICE SNOW」はコンパウンドとパターンを一新、従来からアイスブレーキ性能を9%、雪路ブレーキ性能を4%それぞれ向上。これが主張点でしょ。特にアイスブレーキ性能は最大興味かと。
実現するのはコンパウンド。新開発EverWinterGripコンパウンドは、剛性の高いポリマーベースの材質を配合、ベースコンパウンドとの摩擦差によって微少な凹凸が生成され、この凹凸がエッジ効果と除水に貢献し密着する効果を生みアイスグリップ性能を高めるます。
また雪路では雪柱せん断力を発揮。摩耗しても表面の凹凸は再生され続けライフ性能へ貢献します。
トレッドパターンも一新しています。新世代Vシェイプトレッドパターンを採用、サイプ長を28%増加しエッジ効果を強化しアイス性能を向上。更にV字パターンとボイドレシオ(トレッド接地面に対する溝比率)の増加でシャーベット路やウェット路でも効果安定を実現します。
サイプは2つのフルデプスサイプテクノロジーを採用。VTSサイプは、倒れこみを抑制し接地面を確保してアイスグリップを発揮しながら、雪上にしっかり食い込み雪踏み効果を発揮します。
NewクロスZサイプは、3Dサイプによる倒れこみの抑制で剛性を確保、あらゆる路面で安定したハンドリングを実現。接地面効果を最大化しアイス路の水膜を除去、アイスグリップに貢献します。