住友ゴムではダンロップの新SUVスタッドレスタイヤ、「WINTER MAXX SJ8+(ウインター マックス エスジェイエイトプラス)」を発表しました。
氷に超速で効くダンロップ史上最高の氷上性能を実現した乗用車用スタッドレスタイヤ「WINTER MAXX 03」に採用した ナノ凹凸ゴム を、従来品「WINTER MAXX SJ8」のトレッドパターンと組み合わせることで氷上性能を大幅に向上させた、というのが主張点。
初期サイズは 265/50R22 112Q XL ~ 175/80R15 90Q までの54サイズを設定。2021年8月1日から発売開始です。
従来品「WINTER MAXX SJ8」は2013年投入なので、他のSUV専用と比較してもやや古さが目立つところです。その後この括りに新たな製品投入は見送られて来ました。
ただダンロップの施策として、SUVを含め乗用車用に一本化する動きを取っていたんです。2017年乗用車用「WINTER MAXX 02」にSUVサイズを追加。更に2020年投入の進化系「WINTER MAXX 03」にも、当初から乗用車用にプラスしてSUVサイズを設定しました。
これにより本来SUV/4×4専用であった「WINTER MAXX SJ8」は蚊帳の外、という状況に置かれたのは間違いない。このままフェードアウトもあり得るのでは‥
しかしながら今回、トレッドデザインは従来を踏襲しコンパウンド系を改良する+(プラス)進化ながら、一応最新化したことでSUV/4×4専用スタッドレスタイヤのポジショニング消滅が回避されたことになります。
なら尚更双方で差別化は必要でしょう。ザックリ搭載技術のあり方から整理したい。新製品「WINTER MAXX SJ8+」は従来の「WINTER MAXX SJ8」のトレッドデザインを踏襲。しかし、コンパウンドは乗用車用最新の「WINTER MAXX 03」の最新素材技術を採用します。
SUV/4×4専用に傾倒したトレッド面、しかもコンパウンドはアイス性能を向上した乗用車用最新技術のナノ凹凸ゴムを採用する。
サイズ展開もその目安になるか。22~15インチまでの「WINTER MAXX SJ8+」に対して「WINTER MAXX 03」のSUV対応は18~15インチまで(2021年6月現在)。しかもこの対応は乗用車ベースのSUV、いわゆるCUVへの汎用性を示したの。
SUVとCUVは厳密には異なるかな。CUVはSUVを細分化した中のひとつという考え方も出来ます。双方は構造で区別、CUVは乗用車と同じ構造で作られている。まぁ上物はワイルドだけれど構造は乗用車用に近い。一方SUVは、はしご型のラダーフレーム構造などスポーツ用の多目的車として専用化しています。明確な定義が存在しない現状、そんな感じで差別化を。
「WINTER MAXX 03」はベースを乗用車とするCUVへ、「WINTER MAXX SJ8+」は従来通りSUV/4×4専用へ。サイズは双方で同サイズの重なりありますが、この考え方をベースに判断したらいい。
今回の進化で謳うアイス性能の大幅な向上、そもそも世代を超えた進化レベルになっており当然と言えばそうかも。
で、根拠はアイスブレーキ性能で14%、アイスコーナリング性能で11%だという。具体的にはアイスブレーキで「WINTER MAXX SJ8+」が15.5m、「WINTER MAXX SJ8」は17.7m、その差2.2mですので車両全長の半分くらい差があるということ。これが進化の証です。
搭載技術
ナノ凹凸ゴムは、タイヤ表面にナノレベルで施された凹凸構造を持つ特殊なゴム。柔らかな凹凸構造の突起部分が起点となり、タイヤと路面の間の滑りの原因である水膜を素早く押し出し除水から密着へ瞬時に移行。密着は進化し氷に触れる面を最大化、強い密着力を引き出します。
ナノ凹凸ゴムに含まれる MAXXグリップトリガー は水と反応して溶ける性質。しかし摩耗しても繰り返し凹凸構造が出現するので溝が減っても安心。更にゴムと軟化剤の2面性を持つ 液状ファルネセンゴム は、低温下での密着とゴムの柔らかさを実現。しなやかさが続くため時間が経ってもアイス性能が低下し難い。
トレッドパターンは従来を踏襲するので実績は充分。ミウラ折りサイプのサイプ幅を従来品より25%細くし、ブロックの倒れこみを抑制。サイプの数も増しタイヤ全体のエッジ成分を確保、路面の引っ掻き効果を高め氷上ブレーキ性能に貢献します。