コンチネンタルの性能は間違いなくハイレベルです。快適性に対するバランスの良さ、剛性向上が果たす安定性、そして寿命など装着すると実感出来る点は多い。
2016年に発売されたプレミアムスポーツ「SportContact 6」は、ホンダ「シビック タイプR」に純正装着として承認されました。開発段階にドイツ ニュルブルクリンク北コースでFF量産車最速ラップタイムを打ち立てたことに貢献、という凄いタイヤ。そのサイズ 245/30ZR20 を履く。このあたりからコンチネンタルにも国内市場の見方に変化が表れます。
コンチネンタルは140年以上を誇る伝統あるメーカー
コンチネンタルはドイツのタイヤメーカー、タイヤビジネス誌による2022年世界タイヤメーカーランキングは4位(6.7%)です。
欧州での認知は抜群、従って新車装着として採用する欧州自動車メーカーは多い、というか新車装着No.1(2003-2010年欧州で生産された乗用車、小型トラックの実績)を誇ります。約1/3台がコンチネンタルを純正装着してるという。これにより欧州ではミシュランをも凌ぐのでは、とも言われます。
またコンチネンタルコーポレーションとして、タイヤ、ContiTech、シャシー&セーフティ、パワートレイン、インテリアの5部門に分かれ、世界46カ国に296の製造、R&D、テストコースを有し、約160,000人以上の従業員を擁しています。
歴史的にも140年以上を誇る伝統あるメーカーです。1871年の創業当初はゴムメーカーとして、コンチネンタル・カウチュックとグッタ・ペルヒャ・カンパニー(Continental-Caoutchouc und Gutta-Percha Compagnie) がドイツ ハノーファーに創立されました。
1882年には現在も続くトレードマークの跳ねる馬が登録。1892年、当時「プノイマティクス」と呼ばれた自転車用空気タイヤをドイツメーカーとしては初めて製造。1901年、ダイムラー社のメルセデスと名付けられた初めてのクルマが、「プノイマティクス」を履きレース「Nizza-Salon-Nizza」に優勝。1904年、世界で始めて溝のあるクルマ用タイヤを開発。1905年、後のスパイクタイヤの前身となる滑止用リベット付タイヤを生産。
1914年、コンチネンタルを履いたダイムラーがフランスGPを3連覇。1921年、50周年を記念してドイツメーカーとしては初のコードタイヤを市場に送り出す。またこの年、大型空気タイヤの製造も開始、それまで一般的だったソリッド・タイヤが市場から姿を消すことになります。
1945年、大戦で工場が空襲され多大な被害を受けるも、イギリス占領軍司令部より各工場での生産再開が許可。1952年、初めてM+S(マッド&スノー)を投入。1960年、ラジアルタイヤの量産開始。
1979年、米Uniroyal社のヨーロッパ工場を買収。1987年 北米のGeneral Tire, Inc.を買収、2001年Continental Tire North America, Inc.に社名変更。
2002年、日本のクルマメーカーに対するタイヤ販売を伸ばすため、横浜ゴムと50/50ジョイント・ベンチャー企業(YCC)を創立。2017年、アジア太平洋地域市場に向けられた第6世代となる新製品を続々投入します。
コンチネンタルタイヤ・ジャパンの設立
日本では1974年7月にヤナセが輸入元となりビジネスをスタートさせました。そして2002年4月、横浜ゴムと新車用タイヤ事業で提携を結び、ヨコハマコンチネンタルタイヤ株式会社(YCC)を設立。市販タイヤでもコンチネンタルの総輸入元となりました。
2014年8月、日本でのタイヤ販売事業を行うコンチネンタルタイヤ・ジャパン株式会社を設立。2016年3月、YCCを清算。YCCは日本及び韓国クルマメーカーのグローバルな要望に対応するために設立されましが目的は達成されたとし、2016年4月1日よりコンチネンタルの直接販売に切り替わります。
コンチネンタルタイヤ・ジャパン設立に際しては、従来の販売代理店と共に新規顧客の開拓と販売本数の拡大を目指す。欧州車を中心に輸入車に装着率の高い同社のタイヤを、日本で認知度と顧客ロイヤルティ向上に一層努める。また、国産車の市販タイヤと同社が得意とする冬用タイヤの市場にシェア拡大の大きな機会がある、と期待のコメントを出しました。
YCCでは残念ながら国内等の展開において満足していない、というのが本音でしょう。発展的解消を謳っていますが双方で消化不良かな・・ コンチネンタルは2016年から販路開拓が実を結び、販売数量は前年比24%増と伝えています。
最新は7世代製品が出現!
コンチネンタルには、日本を含むアジア太平洋地域(APAC)に向けられた製品も多い。供給拠点は中国工場やマレーシア工場、現在フル稼働状態にあるという。
ドイツメーカーとして、狙うのはウルトラ・パフォーマンスカーへの新車装着です。これは欧州を同じにするミシュランやピレリも同様。技術レベルの高度化をグローバル市場でアピール、世界シェアは4位を不動にし更なる拡大を狙います。
しかし、熟成された欧米市場にこれ以上の可能性を求めるのは難しい。そこで日本を含むアジア太平洋地域(APAC)に向けられる訳です。特に中国市場は注目の度合いが異なります。この地域に向けられた製品発表会の多くが、中国で行われケースからも感じるところです。
肝心の日本市場はどうよ? 既述の通り2014年8月に日本法人コンチネンタルタイヤ・ジャパン株式会社を設立、約2年後には売り上げの伸び率が2ケタに。まずは伸び率に注目してよ、ということです。
輸入元としてヤナセからヨコハマと続いた展開は、現在に比較すると興味が半減以下でした。飽くまでも遠い欧州の1メーカーだよね、に過ぎない捉え方だった。ただそれでも性能レベルの高度化は伝わっていたので、身近じゃないから‥ ということだったかと。これが普及に消極的な原因のひとつだったのでは。
コンチネンタルタイヤ・ジャパンの存在は、この距離感を縮めたことに意義を見出します。6世代全体では「PremiumContact 6」や「SportContact 6」のようなUHPも存在するなかで、APAC市場に見合った製品である「UltraContact UC6」、「ComfortContact CC6」、「MaxContact MC6」、そして「EcoContact 6」などが投入されています。
これらはブランドイメージを崩さずに価格的優位を持ってラインアップの拡充を果たした。その結果が先に伝えた伸び率に繋がっていると考えます。
課題は更なる認知の向上でしょう。これまでのブランドイメージとリーズナブルの繋がりをどう引き出すのか、この点に尽きると思います。ラインアップの柔軟さはあるし、敢えてターゲットの明確な線引きによるアピールをしたら面白いかも。
そして国内低燃費タイヤの規定を満たすこと。欧州規定では高位なグレーディングを実現します。しかし、国内では条件となる一般社団法人 日本自動車タイヤ協会(JATMA)への参画企業として名を連ねておらず国内既定は対象外、まずここクリアかと。
欧州規定を声高に主張してもやはりここは日本です。他が国内規定を表示する中で現状はピンボケの印象があるかな‥
ただ製品は最新化、7世代へ移行が進みます。しかもスポーツ、プレミアムコンフォート、コンフォートなど注目製品が目白押しです。
コンチネンタルタイヤ性能比較
スポーツ
コンチネンタルの「ContiSportContact」シリーズ、国内では1994年に発売されたプレミアムスポーツタイヤです。初代モデルは優れたハンドリング性能とブレーキ性能で高い評価を獲得。その後、コンチネンタルの進化とともに技術力とノウハウを結集、常に進化を続けています。
2016年3月に導入された「SportContact 6」から「Conti」が取れ正直スッキリ。これを切っ掛けに他カテゴリーでも「Conti」外しが進みます。第6世代製品の特長でもあり注目です。名称が長過ぎる、イヤくどい印象を持っていましたから。
最新は2022年6月投入の「SportCotact 7」です。高出力なハイパフォーマンスカー、スポーツカーにとって安全で適切な選択肢となる。サーキット走行ユーザーにも対応しています。
「ContiSportContact」シリーズは、1994年に発売された「ContiSportContact 1」が始まり。変遷は「2」「3」「3D」へ。「3D」はウィンターパフォーマンスを提供する製品としての一面が際立ちます。雪道においても走行可能であることを謳いました。ただオールシーズンとしては物足りない。その点からすると、2021年3月に投入された「ExtremeContact DWS06 PLUS」の起点となる製品かと‥
更に「4」「5」「5P」となる。「5P」の「P」はパフォーマンス(Performance)を表し、ピンポイントを狙える正確な操縦性と力強く卓越したグリップ力です。ストリート用としては強烈なグリップ性能を誇ります。
そして冒頭にように「Conti」が取れ「SportContact 6」、最新「SportContact 7」へと続きます。発売以来、世界中のドライバーから高い評価を獲得。現在ではコンチネンタルの主力製品のひとつです。スポーツ走行を楽しみたいドライバーや、安全性を求めるドライバーに最適であることを強調しています。
従来品「SportCotact 6」の後継。コンチネンタルのスポーツタイヤフラッグシップ「SportContact」シリーズの最新。高出力なハイパフォーマンスカー、スポーツカーにとって安全で適切な選択肢となる。サーキット走行ユーザーにも対応。
フラッグシップとなる「SportContact」シリーズ最新最強を謳う製品。ストリート用として強烈なグリップ性能を誇る「ContiSportContact 5P」を更に上回る性能を実現した真のスーパースポーツ。世界が認める性能は圧巻。
オールシーズンとしては物足りない‥ けれど従来からスノーとウェットブレーキ性能を大きく向上しているし一応ここに括る。ただ主張は従来同様ドレスアップスポーツだし、スポーツへも同時掲載しメーカーの意向を汲む。
スポーツコンフォート
APAC(アジア太平洋)地域向け第6世代製品のひとつ。従来品「ContiMaxContact MC5」から大幅な性能向上を実現、アクティブにドライビングを楽しみ性能に拘るドライバー向けのスポーティタイヤを謳う。
開発コンセプトはセーフティ・コンフォート。開発に9,500時間以上費やし、様々な条件下で実施されたテスト回数は850回以上でその走行距離は地球12周に相当。これにより第7世代の特性であるフラッグシップテクノロジーをもたらす。
アジア太平洋地域市場に向けられた第6世代となる製品。快適な乗り心地とオールラウンドな性能を実現する方向付けになる。主張される特徴はウェットとグリップ、そして静粛性の3点。コンパクトカーからプレミアム、ミニバンまでをターゲットにする。
プレミアムコンフォート
常に安心・安全で上質なドライビングを提供。プレミアムコンフォートのサクセスストーリーを継続していく、と強気な姿勢を強調。従来品「PremiumContact 6」から7シーズン目、第7世代に段階的移行を進める中でも重要な位置付け。
プレミアムスポーツ「ContiSportContact 5」と従来のプレミアムコンフォート「ContiPremiumContact 5」を統合、安全性に優れたプレミアムスポーツをテーマに開発されたのが「PremiumContact 6」。
コンフォート
コンチネンタルで進む第6世代製品にまたひとつ追加。ターゲットは軽/コンパクトカーから大型SUVまでフォロー。主張点はすべてに高性能、新時代のハイパフォーマンスエコタイヤ。転がり抵抗、ウェットブレーキ性能、耐摩耗性という相反性能を両立。
第7世代へ進化しドライバーと同乗者の快適性を最優先に開発されたコンフォートだという。要は静粛性と乗り心地のアップデートに主眼を置いた。またサイドウォールのデザインと見た目の美しさも追求。「ComfortContact CC6」の後継。
「ContiComfortContact CC5」の後継。同社の第6世代となり、アジア太平洋地域のニーズとドライビング環境を徹底的に理解し設計されている。主張点は高い静粛性と快適な乗り心地、耐摩耗性の3つ。スタンダードコンフォートの位置付けは踏襲。
SUV
アジア太平洋地域市場に向けられた第6世代「UltraContact UC6」から派生、そうSUV専用として投入。ベース同様スポーツコンフォートの特性から、快適な乗り心地とオールラウンド性能を実現。サイズは22インチからと大口径の設定を実現する。