NANKANG AW-1【改良版投入】

アジアンタイヤとは? 基本理解を深め全体を把握

 タイヤはクルマのパーツの中で非常に重要なもの。しかし、皆黒くて丸いゴムの塊だし、重要性を見出すのは意外と難しい。アジアンタイヤだって同様です。ならメジャー(国内や海外メジャーメーカー)製品とはいったい何が違うのでしょうか?

 当時、手に入り難い台湾・韓国・中国・インドネシアなどの製品を、安価で日本各地に発送可能にしたのが画期的でした。世界にはまだ知らないようなメーカーが沢山ある。それらが国内へ導入されたことから認知、普及へ繋がっています。

 近年アジアンタイヤメーカーの技術力は、かなりのレベルで世界標準に到達していると言ってもいいでしょう。その結果、世界的クルマメーカーの新車装着としての採用が実現しています。基本的な技術レベルを達成し、あとはその製品に施す味付けに違いを見出すところまで達したと捉えます。

 ということで、ここではそのガイダンスとして、アジアンタイヤの基本理解を深める内容をまとめてみました。

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アジアンタイヤとはそもそも何?

 日本市場で一定層に認知されたのが、台湾、中国、タイ、インドなどの新興国メーカーが製造するタイヤです。これらは一般に「アジアンタイヤ」の総称(括り)で呼ばれています。

 世界的なタイヤ市場シェアは、ブリヂストン、ミシュラン、グッドイヤーのビック3合計でかつては50%以上ありました。ところが現在は40%弱程度まで縮小するなど市場構造に変化が起こっています。

 代わって台頭したのがアジアンタイヤだと言われています。最大の特徴は安価であること。メジャー製品に比較し半額、いや黎明期には1/4とも謳っていました。メジャー製品が1本20,000円ならアジアンタイヤは5,000円で買えてしまう。それ以下3,000円、2,000円台などこれまで見たことの無い価格設定も。

 アジアンタイヤが安価な価格設定を実現する要因のひとつが、インターネットを活用した販売手法です。最近ではメジャー製品へも波及し完全に浸透しています。様々な可能性を持たせるインターネットの普及がタイヤ購入へも向けられた結果です。

 ただ当初からインターネット購入が、全てウェルカムで受け入れられた訳ではありません。タイヤは安全性に起因する重要なパーツ、リアルショップでキッチリ説明を受け購入しましょ、というある意味インターネットネットへ危機感を持った対抗策を発したショップなどもあったかと。

 しかし、加速する進化に対抗することは難しい。それまで紙カタログとショップ店員から得た情報は、インターネット上に溢れる情報でまかない切れる程になったのです。メーカーの取り組みもこれを後押し? 一部ながらメーカー直販サイトを持つなど自らがインターネット販売への枠組みを構築しています。

アジアンタイヤはモータースポーツドリフトで火が付く!

 アジアンタイヤの価格の安さはドリフトユーザーの目に留まり、専門誌に取り上げられたことで興味を得ることに。ドリフトはその走行特性からタイヤの消耗は避けられません。これを使用することは財布に優しい、として今やドリフトの定番です。

 モータースポーツとして、2017年には国際自動車連盟(FIA)公認にもなりました。タイヤを滑らせ白煙をあげながら豪快に車をスライドさせる。その様を間近かで見ると迫力に圧倒されます。

 これまでは一部での人気止まりでした。しかし、プロドリフトD1が開催されるとその人気に火が付き、今では世界的なビックイベントに成長しています。この影響で底辺の拡大が少しずつ進んでいます。車を造り休日に友人たちと走行を楽しむ姿は自然な形のモータースポーツを見るよう。車好きに取って好感が持てます。

 このドリフト、初心者にはフロントにグリップ性能の高いものを、リヤにはややグリップ性能の低いものを装着することで、滑り出すきっかけが作りやすいよう。そしてうまくなるには練習が一番です。

 それには金が掛かります。なにしろタイヤを豪快に滑らせることがその基本ですので、消耗は半端じゃありません。1日の走行で使用出来なくなってしまうことなど珍しいことではありません。

 優しく使っても2、3日、いや5、6回が限界かな‥ 激しい走行はブロックの削れやトレッド面の摩耗など、これはまだ序の口。トレッド面が剥がれベルトがむき出しになるほどの状態にまで、これで終了。

 一般的な寿命は3~4年が限界の目安、また3万Kmを越えた時点でその性能が極端に落ちると言われています。まぁ、使い方によってはそれ以上のライフ期待出来ますが。これに比較すると何とも勿体無い。しかも毎回だし相当な負担になりますね。

 考えられたのがスクラップ業者や中古ショップから購入すること。またサーキットの一般的な走行後の廃タイヤを譲ってもらうなどの方法です。但し銘柄もサイズも統一性が難しく、練習毎にアプローチが変わってしまうという難点があるんです。条件を合わせることが望まれます。

 そこで注目されたのがアジアンタイヤです。価格的な安さ最大だし、また一般的ならリヤに装着するややグリップ性能の低いものと近い特性であること。そして何といっても新品です。これが瞬く間に広がって行きました。その結果、アジアンタイヤは定番、と言われるまでになったのです。

 そこからアジアンタイヤは街中走行でも行ける! という風潮が強まり一般ユーザーの普及に繋がっています。ドリフトユーザーという特別な枠を超えた現在、その動きは一層進みます。

 2016年頃からD1のタイヤには変化が。一般市販用が装着の条件であった従来から、いわゆるSタイヤにも準ずる性能へ向かっています。これにはアジアンタイヤの絡みが大きく影響しています。2017年からは規定によって装着銘柄が限定され、いずれもSタイヤ並みが溢れています。

世界的な金融危機で加速!

 アジアンタイヤが黎明期を経て普及への道筋を辿るのに、切っ掛けとなったのは金融危機(リーマンショック)です。2008年9月、大手投資会社リーマン・ブラザーズが経営破たんしたことで起きました。経済危機は米国市場のみならず、世界市場が混乱に陥り株価が急落しました。

 この問題から米ドルが極端に売られ、代わりに買われたのが財政が安定していた日本円。1ドル104円で取引されていた為替レートが、2008年12月には87円まで円が買われ、急激な円高にシフトしました。

 これにより日本の輸出産業は大打撃を受け、リーマンショックに直接関係していないにもかかわらず日本市場も大暴落。株価低迷から脱することが中々出来ず。そして2011年には東日本大震災が発生し日本経済は更なる打撃を受ることになります。

 この期間、冷え切った国内市場での共通性はより安く、だったのでは。それこそ1円でも安く購入したい雰囲気が、あらゆる場で求められていったかと。

 そしてアジアンタイヤが注目を得ることに。安さを求める社会情勢に乗った、同時にインターネットは飛躍的に普及し環境整備が更に進みます。一時の避難的意向もあったかと。景気が戻ればこれまでの一般的な事情へ戻るはず‥ しかし、使ってみるとそこそこだし、アジアンタイヤでもいい! の層が拡大。こうして普及が進むことになります。

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アジアンタイヤの国内シェアを予測してみる

 世界的なタイヤ市場はビック3が席巻。一方日本国内においては、国内メーカー4社(ブリヂストン、ヨコハマ、住友ゴム、トーヨー)で80%以上のシェアを得ています。では残りがアジアンタイヤになるのか、と言えばそうではない。海外メジャーもあるし、その他ゴム関連としての括りも含まれます。実は明確な数値を見出すのは難しい。

 それでも貴重な数値を示すと2008年まで遡ります。約5~6%がそれ。これ以降、明確な数値を確認する事ができません。仕方ない、色んなところから参考になりそうな数値を引っ張ってきましょう。

 まずJATMA(一般社団法人日本自動車タイヤ協会)が公表した2018年の国内実績、乗用車の夏冬タイヤの合計本数が約5,200万本です。これを大きな括りにしましょう。

 そしてアジアンタイヤのNANKANG、2016年は夏冬タイヤ合わせて60万本だったという。ザックリだけれどシェアは約1.1%になります。またNEXENが日本法人となるNEXENタイヤジャパン設立に際して公表した、2017の国内販売数は約33万本でシェア約0.6%。またKENDAは2020年までに年間50万本を目指したい‥ というから実現したら約1.0%かな。

 年代は揃わず、しかも実績や目標など条件統一されませんが諸々考慮、すると最初に挙げた約5~6%は見えています。そして最新は約7~8%、いやアジアンタイヤは10%に近い数値になっているのでは、と順調な拡大を描いてみました。

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今後の動向から新たな発想

 アジアンタイヤは世界的な金融危機(リーマンショック)以降、価格の安さが注目され右肩上がりの状況に。その勢いは今も続いているかと言えば、ん‥かな。実は新たな販売ルートも静かに幕を閉じている現状もあり、市場は既に横ばいにも思えます。

 2020年には国内タイヤ市場そのものが頭打ち、とも言われました。結局決められたパイを取り合う構図になる訳で、国内外メジャーメーカーの巻き返しは更に強まるはず。その時、価格のみ重視する見方は一定の限界を迎えることになるかもしれません。

 そこで展開は更なる可能性を見出すことが必要。異なる価値観、と言い換えましょう。で、こんな発想をしてみました。

 トレッドパターンを追及すると、カテゴリー毎にある程度の共通性を示します。特にパターンデザインに傾倒し性能レベルを高めるアジアンタイヤは、その割合がより増しています。

 高位の性能を目指すなら既に実現された既存パターンを取り入れるのが確実です。アジアンタイヤの多くはメジャーメーカーの影響下にあったことから、その流れを感じさせるものは多い。(特許の問題もあり侵害するのは駄目)

 ただそれだけでは独自性を示すことに難しさがあります。そこで注目されるのは素材です。素材とは外部構造となるコンパウンド(ゴム)や内部のベルト、カーカス‥などありますが、ここではコンパウンドへ拘ってみましょう。

 現在、一定規模まで普及した低燃費タイヤは正にこれです。パターンは従来から僅かな進化に留まるも、素材が飛躍的向上を果たしたことで性能レベルの高度化を実現しています。またスタッドレスタイヤにおいても近年のアイス性能、低燃費、寿命の向上はこの効果によるものです。

 対してアジアンタイヤはどうよ? 正直この成長が加速しません。なぜ? そう価格への影響と技術レベルの問題です。技術はある意味今後への期待とし(実はこちらが大きいかも)、残る課題は価格でしょ。素材を高度化し新たな採用となれば価格への転嫁は免れません。でも性能と価格の関係が従来の枠を超えた現在、低価格のニーズは一定規模で続くでしょう。

 そこでアジアンタイヤは価格1割増し、性能3割増しの発想です。高度な素材技術を1割増しで導入、その結果として3割増しの性能向上を実現する。ザックリながらアジアンタイヤとメジャーでは2世代、いやモノにより3世代の格差を感じます。この差を僅かでも(理想は1世代)縮めたい、しかも1割増しで。1本5,000円なら5,500円です。

 価格2割増しでは魅力が薄れ、3割増しならメジャーへ流れてしまう可能性が大きくなるでしょう。だからアジアンタイヤの価格は1割増しです。少し飛躍し過ぎかな。

アジアンタイヤは大丈夫? という疑念にはこう示す

 アジアンタイヤと私の最初の接点は今から18年位前かな。友人の所有するクルマに装着されていたNANKANGだったと記憶しています。友人はインチアップされたタイヤを見て誇らしげ、しかし当時NANKANG、しかも台湾製など全く理解出来ていない私にとっては何で? という不思議な空気が流れました。

 そして大丈夫なの? という疑念を持たずにはいられませんでした。タイヤという工業製品への絶対的信頼性は国産であるのが常識、という全くもって日本人そのものの感覚しか持ち合わせていなかったので受け入れられなかったのです。

 黎明期ならこんな話はいくらでもあった。ところがアジアンタイヤを直に感じた人は少数、多くは噂や囁きを自身の意見として自信満々で説いていたかと。黎明期から中期、そして現在でも同様の見解は残っています。

 こんな時、必ず対比で高性能と示されるのはミシュランが多い。それもプレミアムスポーツなどですから、そりゃどう見ても比較がオカシイでしょ。国内メーカーも同様に推奨されるも、今度はミニバン専用とスポーツだったり比較の統一性が全くありません。

 結局、タイヤの選択は相応の価格を持ってして決めるべきとなる。まぁ、高性能=高価なのは間違いありません。しかしながら、アジアンタイヤ黎明期から相応以上の経過によってその考えはいろんな方向に分散されています。

 全ての人がプレミアムスポーツで完璧な走行を望む訳ではない。街中でそこそこの走りに耐えられるのなら十分、という層がいるのも見逃せない。ここに安心安全なら高価なプレミアムだよ、と言ってもどうだろう。私なら金が無いっす、となる。

それでもメジャー製品なら‥

 ここまでウダウダ書いて多くがアジアンタイヤへ向いたような錯覚になるけれど、それは違う。飽くまでも極一部の存在が多少見える程度に膨らんだ、ということ。国内の市場全体シェアからすると7~8%、いや10%にも期待を持たせていますけどね‥

 一方で人生の先輩方ほどアジアンタイヤなんて‥ という全く持って理解を示されない現実もあるかと。そもそもアジアンタイヤって何? というレベル。台湾、中国、タイ、インドなどで製造してることがピンと来ない。そして彼らの決まった台詞、タイヤは重要だから‥

 キッチリ調べた訳ではないけれど、アジアンタイヤの年齢別使用状況は、人生の先輩方になればその数は萎んでいく。他方30~40代あたりが山かな。

 アジアンタイヤの信頼性や興味、押し付けではなかなか受け入れることは難しい。実際、性能をメジャー製品とまったく同じ土俵で評価されたら劣るでしょう。やはりコストパフォーマンスという点を最大限考慮した上で、実情の理解から受け入れられることが評価を高めることに繋がると考えます。

東京オートサロンへ出展

 チューニングカーの祭典を謳う東京オートサロン、例年3日間の開催期間ながら東京モーターショーをも凌ぐ規模、そして人気になっています。因みに2019年は最高で、330,666人だったというから凄い。

 出展するのはクルマメーカーばかりではありません。チューニングカー絡みだしタイヤやパーツなど多岐にわたります。その中でもタイヤはクルマ本体に次いで人気だったような‥ 国内メーカーは勿論のことアジアンタイヤも露出拡大に積極展開を果たします。

 過去2016年はWANLIとクムホ。2017年はオートウェイによるNANKANG、ATR RADIAL、HIFLYの3ブランド、KENDAとWANLI、そしてNITTOがそれぞれ単独で出展を実現しました。

 2018年はやはりオートウェイによるNANKANG、ATR RADIAL、HIFLYの3ブランドにプラスして、ZEETEX、RADARP、MOMO、MAXREKを展示、更に新たなブランドNEUTONがお披露目されました。またNITTOもトーヨーとは別に独自の世界観を演出。その他中国メーカーなども小ブースで展開します。2019年は更に凄かった。

 アジアンタイヤに括る製品が一同に会するのはここが最大かと。それを目当てにブースを訪れる人が多いし、いずれも熱心に製品を見定めています。認知拡大には絶好の場です。

 メジャーでも頑なに出展へ消極姿勢を示すメーカーもある中で、アジアンタイヤでありながら(アジアンタイヤだからか?)積極出展は、以後の展開に何らかの可能性を響かせるはず。

メーカーとカテゴリー双方から性能比較!

 アジアンタイヤは、メジャー製品とは異なり専門家の試乗レポートなど少ない。果たしてどんな感じ? これを実現するのが当サイトのインプレッションです。製品により偏りがあるけれど実体感によるメリハリのある感想を見ることが出来ます。

 アジアンタイヤを比較する専用ページの構築は、『メーカー別性能比較』と『カテゴリー別性能比較』の2つから実現します。

 NANKANG、MOMO・・ などに新興メーカーを加え13に及ぶメーカー(ブランド)を掲載。リスト化し特徴を記載、そこから各メーカー専用ページへ繋ぎます。最新の製品展開を伝えるのが前者です。一方後者はスポーツからSUVまで7つのカテゴリーを一覧表示。そこにはカテゴリー性能を最大限発揮出来る製品をピックアップし特徴を見出します。

 この2つを整えるには相応の期間を有しています。なぜならメーカー展開は製品一覧ページとの重複が明らか。これをどう異なるものとして示そうか、随分悩みました。そこでメーカー展開は沿革等にも触れ、アジアンタイヤは大丈夫? という疑念にもこちらから理解を深めてもらうのがいいかな、という考えでまとめています。

 これで性能比較コンテンツが2つに大別され、束ね難かったコンテンツの一本化、そうそれぞれの入り口が出来た訳です。

 また『製品詳細ページ』をメーカー別にまとめたのが『製品一覧』です。掲載製品だけを確認したい、という人ヘ向けた製品リストです。更には夏タイヤに留まらず『オールシーズン』、『スタッドレス』も性能追求を図ります。

 『リアルレポート』は掲載するタイヤ情報を有効に伝える役割のひとつです。多彩な条件で体感し、その時々の印象を示します。採用製品はメーカー等のサポートなどありません。その時の興味や注目度の高さなどから独自に判断し自腹購入が基本です。

 日々の更新は『タイヤ情報 ANEXX』でお伝えします。最新情報を幅広くオリジナルで、が意識するところ。タイヤへの思いを当サイトならではの切り口で示します。そして『タイヤ動画』はテキストで感じることができない動画ならではの情報を観ることが出来ます。

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