外国のスタッドレスタイヤ日本専用設計はなぜ?

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 近年、外国メーカーはメジャーそしてアジアンタイヤに至るまで、スタッドレスの日本専用設計を強調します。

 基本設計を本国の研究所で行い、走行テストを日本で実施する、というものから、設計段階から日本をベースにするメーカーまで様々な形態が見られます。しかもその舞台は北海道が中心です。

 日本向けの特別設計を謳うことに日本人は弱いかな。際立つ日本専用設計について考えてみます。

(2017.9更新)

日本特有の雪質を理解する

 日本専用設計のもっとも大きな理由は雪による走行環境の違いに対応する為では。日本と外国、特に欧州とは違いが大きいと言われます。日本国内でさえも地域によって雪質や降雪後の走行環境は全く異なります。尚更外国とはその違いがもっと大きいでしょう。

日本の雪は多様性

 日本は南北に長い地形によって世界屈指の降雪国とも言われます。寒暖の差が激しく積雪があると解け難く、気温が低下すると押し固められた雪はアイス路面になりやすい。更にミラーバーンやブラックアイスバーンなど、非常に滑りやすい厳しい路面を作り出しています。

 一方で降っても直ぐ解ける地域もあれば、数年に一度という地域もあります。同じ国ながら冬環境は多様性を示します。

海外は?

 対して欧州、といっても国によりこちらも違いはあるけれど、豪雪となるのは一部の地域だと言われます。雪質は軽く豪雪となることが少ない。更にここに注目します。除雪対応が非常に進んでいる。降雪になると除雪車が出動、そして融雪剤を大量に散布します。

 ただ北欧やロシアでは状況が異なります。常に路面に雪が積もる状況が発生しています。スパイクタイヤの使用が認められており、アイス路面を想定したスパイクタイヤ需要はいまだに続きます。

それぞれに専用設計

 実はここがポイントとなる。日本国内と欧州、北欧やロシアを加えた3つだけでも環境の違いを感じます。従って日本だけに専用設計の投入を行うのではなく、欧州には欧州専用設計を、北欧・ロシアには専用設計となるスパイクタイヤが投入されていると理解したい。

 しかし、それでも日本専用設計の特殊性、要求の厳しさは特別でしょう。対応するスタッドレスは、圧雪やシャーベットは勿論ですが、最も滑るアイス路面を強く想定しなくてはなりません。更に近年はドライでの高速走行、低燃費も重視され夏タイヤ並みの性能が求められることも少なくないのです。日本のタイヤ性能に対する要求は非常に高く、これを満たす姿勢が重要です。

タイヤメーカーのボーダレス化

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 このような市場特性によって外国向けのスタッドレスを投入しても、ユーザーの高い満足が得られるとは想像し難く、結果として日本の雪質を考慮し開発した専用設計のスタッドレスが必要となるのです。

 日本で開発し専用設計を謳うことは、国内メーカーと同じ土俵で開発が行われていることになり、競争力に対する優位性を同レベル、もしくはそれ以上へ引き上げます。その多くは北海道を舞台に開発が行われています。

北海道を舞台に開発

 北海道は、積雪状況や走行環境など開発に必要なデータ収集に適しています。また広大な土地柄からテストに十分な敷地も確保しやすい。そして国内メーカーの製品も多くが北海道の雪質をデータベースに開発が行われています。従って外国メーカーの開発拠点が北海道であることに納得です。

 日本の雪質や使用環境の理解が進み、外国メーカーの日本専用設計が拡大する傾向では、国内メーカーと外国メーカーのボーダレス化が以前より進んでいます。依然として国内メーカーの優位性は揺るがないものの、その差は縮んでいると思います。