4×4タイヤの括りでまず主となるのはM/T(Mud Terrain)でしょう。ダートでもマッドでもしっかり路面を掴む本格的な4WDオフロード専用です。
通常よりトレッド面の溝が深く、また剛性に優れたブロックが強力に路面に食い付きグリップします。岩や石へのヒットにも強さが発揮され、通常程度ならオンロード路面での移動もストレスなく快適にこなす特性です。
また条件によるけれど、トラクション性能を向上させ冬場の浅雪での走行も可能としています。
一方、M/Tまではいかないまでもオン・オフ対応を示すオールラウンド、A/T(All Terrain)が存在します。街中での走行も快適性が発揮でき、そこそこワイルドな雰囲気を感じさせ評価の高さを誇ります。
敢えてオフロードに傾倒する以外、道路の舗装が一般的な近年は長時間に渡るオフロード走行を強いられるケースは少ないでしょう。その為にワイルドな4WDであってもA/Tの装着が見られます。
より実用性を尊重するのならA/Tが使い勝手いい。ここでは4×4タイヤを謳うもA/Tをメインに構築。しかしながら、近年M/Tへの注目が高まっています。見過ごすことが出来ないレベルだし最新ではこっちにも興味を高めます。
4×4タイヤ性能比較
これまでA/T中心で構築した製品ラインアップ、しかしながらM/Tへの流れも見逃せません。そこで2つの括りによって展開を確認します。
・M/T(Mud Terrain)= 4×4(オフロード)対応
( ※Terrain(テレーン)=地形を意味 )
A/T(ラインアップ)
まずはA/Tから。ブリヂストンは「DUELER」をSUV/4×4の専用ブランドとして位置付けて来ました。しかし、オンロードに「ALENZA」の投入で「DUELER」はA/TやM/T専用のオフロードブランドへ。ここに投入されたのが「DUELER A/T 001」です。
ヨコハマは2016年に投入した「GEOLANDAR A/T G015」が奮闘します。ラインアップで認知を高め、強化を果たす「GEOLANDAR」シリーズで一貫した主張を展開。そして2019年、SUV・ピックアップトラック用として「GEOLANDAR X-AT」が発売されました。更に軽トラ専用も投入、「GEOLANDAR KT」がそれ。
トーヨーは北米で開花した「OPEN COUNTRY」シリーズを国内へも投入。第一弾がSUV/CUVタイプの軽カーへ向けた「OPEN COUNTRY R/T」でした。しかもこの製品は新たな括りR/T(Rugged Terrain)を提案。M/TとA/Tの中間になる全く新しいジャンルを強調します。(ここではM/Tへ)
更にA/Tの「OPEN COUNTRY A/T plus」も続きます。オフロード走行に優れたトラクション性能を発揮しつつ、オンロード走行にも高位の静粛性を果たすSUV用オールテレーンタイヤを謳います。ホワイトレターを施す「OPEN COUNTRY A/T EX」も投入。そして2022年には「OPEN COUNTRY A/T Ⅲ」を投入。最大主張はスノーフレーマークを取得していること!
ファルケンは北米で注目される「WILDPEAK」シリーズのA/Tとして「WILDPEAK A/T3W」を投入、当初は最小サイズで様子見でしたが最新は少しだけ拡大しています。
充実度が高いのはグッドイヤーです。「WRANGLER」シリーズは当初の「WRANGLER AT/S」に2019年「WRANGLER DURATRAC」が追加され、そして2020年は「WRANGLER AT SILENTTRAC」も発売。
こうなると違いはどうなる? 「DURATRAC」はアクティブさ、ワイルドさを強調。一見ではA/Tに留まらないM/Tの印象が強いかと。一方「AT SILENTTRAC」はやや大人し目かな。ショルダーの構造にオンロードでの対応性がより強く感じられるデザインです。
ダンロップも触れましょう。既存「GRANDTREK AT3」は2009年発売なので何というかもう化石のよう? 失礼‥ そこで2021年ようやく新製品を投入、「GRANDTREK AT5」がそれ。12シーズン目で待望の進化。名称は「AT3」の後継だし「AT4」が妥当では、と思ったけれどそこは「4」を敢えて飛ばした?
そしてピレリ。「スリーピークマウンテン・スノーフレークマーク(3PMSF)」を搭載した「SCORPION ALL TERRAIN PLUS」を投入。SUVオールシーズンとA/Tの両機能を備えます。などから一新した様相に活性化を強く感じます。
最大主張は耐摩耗性能と低燃費性能の向上。センターとショルダーのブロック幅を見直し、専用最適配置ブロック でトレッド部の剛性を最適化し耐摩耗性能を向上、オン・オフに求められる性能を高次元で両立。
「X-MT」と新たな「X-AT」は共にSUV、ピックアップトラック人気に反応した結果でザックリならターゲットは同じ。しかし既存「A/T G015」と「M/T G003」の中間であることを明確化し新カテゴリーを謳う。
ターゲットはアクティブなライフスタイルを楽しむドライバー。オフロードの走破性と耐久性を向上、しかもオンロードの快適性や静粛性も高めるなど、実現の為にトレッドパターンからコンパウンドまで全てを一新。
軽トラ専用! 軽トラは農道のベンツと言わるほどその場所にジャストフィット。他にも林業、漁業にも欠かせない。また近年カスタマイズしたそれを、アウトドアなどの泥濘地や砂利など非舗装路走行の機会を楽しむユーザーも増えている。
待望の進化を果たした「AT5」。摩耗しやすいショルダー部の剛性を高めた新パターン、接地圧を均一化した専用プロファイルを採用。圧のかかりやすいショルダー部の摩耗エネルギーを低減、従来品以上のロングライフを実現。
最大主張となるのはスノーフレーマークを取得していること。降雪時における性能が格段に向上。従来品は「OPEN COUNTRY A/T plus」、なのでその性能は当然踏襲。メーカーではA/Tが飽くまでも主戦場、でもプラスしてオールシーズンへも臨む。
「OPEN COUNTRY」シリーズは、1986年に発売を開始して以来北米で高い認知を誇る。「OPEN COUNTRY A/T plus」はオフロード走行に優れたトラクション性能を発揮しつつ、オンロード走行にも高位の静粛性を果たす。
「OPEN COUNTRY A/T plus」にホワイトレターを施す。ホワイトレターは見た目の格好良さに対応する。タイヤのサイドウォール部にブランドロゴ(TOYO TIRES)とタイヤのパターン名(OPEN COUNTRY A/T EX)を白文字で立体的に表示。
ライフとウェットの性能両立。スタッドレスの3Dサイプ技術を応用、ドライのハンドリングとウェットでの優れたエッジ効果を発揮。その結果Jeepブランドのピックアップトラック「Gladiator」の標準装着タイヤに採用。
グッドイヤーの主張はオン・オフを問わず、アクティブに活動するユーザーに向けた4X4に最適なタイヤだという。見た目かなりワイルド、でも実際の括りはA/T(All Terrain)= オン・オフ対応のオールラウンドになる。
近頃流行り?のSUVに緩いオフロードタイヤを装着する、街中で見た目重視の要求にバッチリ応えられる。としつつもオンロードで快適性や静粛性を発揮、オフロードでは走破性を高めるなど性能両立を追求。
幅広の2本の縦溝が特徴。排水性をより向上させる効果、オフロードでの排泥性、トラクション効果も大いに期待できそう。オンロード用の「WRANGLER HP」に準ずる快適性と高度なハンドリングも謳われている。
基本デザインはオフロードでもオンロードでの静粛性やウェット性能をも訴える。左右非対称パターンを採用、主にIN側ではオンロードでの性能を発揮し、OUT側ではオフロードでの性能を発揮するイメージ。
区分けはSUVオールシーズンと迷ったけれど、諸々調べた結果A/Tへポジショニング。A/Tタイヤとしてオフロードもグイグイ走れる性能が秀逸。ただオールシーズンとしては3PMSFは見逃せない。従来品「SCORPION ATR」の後継。
M/T(ラインアップ)
2018年1月の東京オートサロンでは、ちょっとした変化が見られました。A/Tを超えるワイルドなルックスのオフロード、そうM/Tの出展がメインと見間違えるほど際立っていたんです。
この動き2019年は更に強化され、各メーカーはメイン、一角いずれにしてもM/Tへの出展を果たしていました。2020年もこの流れを継承、やはりショーアップにはワイルドなM/Tの演出が似合います。更に以降もとなるはずが‥
ブリヂストンは「DUELER M/T 674」、2013年の投入なのでやや経年が気になります。それでもハードなマッドステージをも走破する本格的M/Tを謳います。
ヨコハマは2017年に13年ぶりとなるフルチェンジを果たした「GEOLANDAR M/T G003」を投入。過酷なオフロードレースで培った技術をフィードバックし、全面的な見直しを図っています。また2018年には北米地域で既に先行販売されていた「GEOLANDAR X-MT」も国内導入を実現しました。
トーヨーは北米で認知を得た「OPEN COUNTRY」シリーズの第一弾とした「OPEN COUNTRY R/T」が国内導入から8シーズン目、2018年には「OPEN COUNTRY M/T」をラインアップに加え一応の完成となるのでは。
ファルケンからは「WILDPEAK」シリーズ。A/T「WILDPEAK A/T3W」同様に、M/T「WILDPEAK M/T01」を投入済み。ただこちらも最小サイズで様子見でしたが現在はやや拡大しています。
グッドイヤーは、R/T(Rugged Terrain:ラギッドテレーン)となる「WRANGLER DURATRAC RT」を発売。M/TとA/Tの中間ジャンルです。雪上での性能を確保している証として、「スノーフレークマーク」を刻印しています。
これらいずれも意識するのは北米市場、そこから国内へも波及させたい。市場のSUV人気は継続し、その流れでより過激な4×4、そうオフロードへも。しかもA/Tでは飽き足らず、ワイルドなルックスのM/TもしくはR/Tへ意向を強めています。
「DUELER M/T 673」の後継として2013年に投入、3D形状の新パタンでマッド上のトラクション性能、ハンドリング性能の向上を強調する本格M/Tタイヤを謳う。同時にオンロードでの乗り心地や静粛性への配慮も訴える。
北米地域での先行販売を経る。SUV・ピックアップトラック向けを謳い2017年8月に登場した「GEOLANDAR M/T G003」よりも更に趣味性を高め、オフロード走行は勿論のことロックトレイルを楽しむユーザー向けを強調する。
世界各国で発売するグローバル製品の位置付け。過酷なオフロードレースで培った技術をフィードバックし、トレッドパターン、サイドデザイン、構造、コンパウンド、プロファイルまで全面的な見直しを図っている。
本格的オフロード向けSUV/CCV用タイヤを強調。トレッドデザインは悪路走破性のみならず、トラクション性能やブレーキ性能の向上に寄与。オフロードレースでのノウハウを生かした、耐外傷性の高いタフネス構造になっているという。
いわゆるクロスカントリー・ビークル(SUV/CUV)タイプ。オフロードでのトラクション性能と、オンロードでの耐摩耗性能や走行安定性を高次元で両立した新カテゴリータイヤ。当初は軽カーへ向けたサイズ展開ながら最新はそれ以外も対象に。
北米で注目される「WILDPEAK」シリーズのM/Tを国内導入。特性はマッド、ダート、ロックなどの険しいオフロードで優れたトラクションを発揮、タフで力強い走破性を実現すること。Jeepにオプションとして純正採用。
静粛性の極みを謳う「REGNO」ブランドの最新作。ブリヂストンのデータ計測では荒れたアスファルトで12%の低減。スムーズなアスファルトでも8%の低減を示す。更にウェットグリップが最高レベルに到達。