走りのクオリティを高める高速安定性と極上の静粛性、そして路面からのショックを吸収し最上級の乗り心を実現するのがプレミアムコンフォートの特徴です。
ハイクオリティー性能の実現は、構造・パターン・素材などタイヤ性能を決める各々の要因をバランス良く調和させる開発が重要。その為にノイズ抑制のサイレントテクノロジー、左右非対称パターン・構造などを採用し、プレミアム性能を高めた製品を実現します。
低燃費タイヤの普及初期段階において、プレミアムコンフォートカテゴリーは独自路線を継続していた印象です。しかし、全体がその傾向を強める中では理解を示さざるを得なくなりました。これにより徐々に転換への道筋が作られて行ったのです。
ただそこでも絶対的な拘りはカテゴリーの特徴として色濃く示されています。ラベリング制度のグレーディング追求は当初から高位には興味が示されず、ほぼスタンダードレベルに終始しています。
要はグレーディング追求はそこそこに抑え、快適性(静粛性+乗り心地)、運動性能を極上レベルに引き上げることが優先されました。プラスして剛性向上、耐摩耗性なども備え、プレミアムカーを満足させる性能レベルを高次元で追求しています。
ブランドの理想的展開
プレミアムコンフォートにラインアップされるブランドは、専用と共用、大きく2つの施策が見られます。
専用展開されるのがブリヂストン「REGNO」、ダンロップ「VEURO」、ミシュラン「PRIMACY」、コンチネンタル「PremiumContact」など。対して共用展開は、ヨコハマ「ADVAN」、トーヨー「PROXES」、グッドイヤー「E-GRIP」「EAGLE」、ピレリ「Cinturato」などで、プレミアム・グローバル・スポーツなど幅を持たせながらも高位の役割を果たします。
専用ブランドの配置はユーザー視点が明確です。プレミアムコンフォートの認識がより強く植え付けられる可能性が高まります。一方共用はより多くのカテゴリーをフォローアップする位置付けとなり、統一性が曖昧で理想とは対極になる危険性をはらみます。当然ながら性能への方向付けにもその傾向が伺えます。
プレミアムコンフォートは要求レベルが高いカテゴリーでもあり、明確な主張が評価レベルを高めます。その点から鑑みると、やはり専用ブランドへの拘りを理想としたいところです。但し、コンフォートに捉われずスポーツやその他追求性能の「プレミアム」を植え付けることが目的なら、必ずしも専用だけがいいとはならない。
プレミアムコンフォートにおける極上さは、快適性(静粛性+乗り心地)、そして剛性に関連付けられる安定性、更には運動性能などが絶妙にバランスされていること。全てが高位に実現していればこれによる恩恵は非常に大きい。逆に極端に突出や劣るなどがある場合、バランスを崩す要因となり極上性への導きは停滞するということも。
プレミアムコンフォートラインアップ
ブリヂストンの「REGNO」、2019年に「REGNO GR-XⅡ」へ進化し注目に。そして2024年は「REGNO GR-XⅢ」登場。「REGNO」ブランドの絶対性を持ってカテゴリーを牽引します。
また2016年からそれまで対象外と思われていた、軽カーやコンパクトカーへも推奨される動きが広がりました。「REGNO GR-Leggera」は軽カーへ向けられた専用プレミアムコンフォートです。
ヨコハマは「ADVAN dB」が2018年に「ADVA dB V552」へ進化。2017年末に発売され、一定猶予のアドバンテージを得て2018年シーズンは完全認知になりました。ヨコハマ史上最高の静粛性を謳います。2024年はその後継となる「ADVAN dB V553」の登場です。
ダンロップは2020年に「VEURO VE304」が投入されました。高い静粛性能と操縦安定性で最上級の快適な車内空間を実現すること。更に最高レベルのウェット性能維持です。
注目のミシュラン。アクティブコンフォートと呼ばれる次世代コンフォートを強調した「PRIMACY 3」の進化版となる「PRIMACY 4」が欧州での先行発売を経て、2018年7月から国内でも実践投入。
そこから新たな「PRIMACY 4+」を発売。静粛性、快適な乗り心地が進化、安全性と走行安定性を向上させたプレミアムコンフォートです。電動車を主な対象にする、ミシュラン史上最高の低燃費性能を誇るのが「e・PRIMACY」です
コンチネンタル7世代への移行が進む中で「PremiumContact 7」が登場。常に安心・安全で上質なドライビングを提供するという目標のもと、最大限の安全性に焦点をあて開発したという。
一方グッドイヤーがハイパフォーマンスコンフォートとして「EfficientGrip Performance 2」を投入。欧州グッドイヤーで開発されたコンフォートブランドのフラッグシップモデルです。またトーヨーも「PROXES Comfort Ⅱs」を発売。双方ようやく長いトンネルを抜けたという感じ。
ピレリは「Cinturato P7」とその進化系「Cinturato P7(P7C2)」をラインアップ。パターンは全くの別物、そしてコンパウンド系の変更も大きい。最大は低燃費タイヤ化を果たしたこと!現状「Cinturato P7」シリーズは3種がラインアップされることに。ザックリ違いを示すとこうなる。
「Cinturato P7 BLUE」>「Cinturato P7(P7C2)」>「Cinturato P7」
全体として製品展開が明確に区分けされ、その中で更なる認知向上へ向かうブリヂストン、ヨコハマ、ダンロップ、ミシュランなどが中心になる展開かと。ただ3種が出揃ったピレリも猛追しており非常にレベルの高い競演が繰り広げられます。
プレミアムコンフォートタイヤ性能比較
ブリヂストン
静粛性の極みを謳う「REGNO」ブランドの最新作。ブリヂストンのデータ計測では荒れたアスファルトで12%の低減。スムーズなアスファルトでも8%の低減を示す。更にウェットグリップが最高レベルに到達。
プレミアムコンフォート「REGNO GR-XI」が進化、極上性能を更に向上させた「REGNO GR-XⅡ」として登場。キーメッセージは、REGNO FEELING.手のひら一枚分に込められた技術が、圧倒的なパフォーマンスを生み出すという。
軽カーでの静かな車内空間を演出、快適な乗り心地を実現、そしてより長く使えるロングライフの3つを主張。REGNOの意義は 軽カーにも極上性能を。摩耗ライフは「ECOPIA EX20C」と比較して10%向上している。
ヨコハマ
従来品「ADVAN dB V552」の後継。「ADVAN dB」シリーズとしては3代目になる。上質な静粛性が持続する、プレミアムコンフォートをコンセプトに開発された。新品時だけでなく摩耗時にも優れた静粛性を発揮する。
従来品「ADVAN dB」の後継。すべてをゼロから見直し緻密に再設計、ヨコハマ史上最高の静粛性を提供するプレミアムコンフォートを実現。コンセプトは車内の空気感を変える、かつてない静粛性だというから大注目。
ダンロップ
主張は高い静粛性能と操縦安定性、最上級の快適な車内空間を実現すること。更に最高レベルのウェット性能維持。新たなコンセプトSMART TYRE CONCEPT技術を搭載したプレミアムコンフォートの実現を訴える。
トーヨー
上質なクルージングを追求し、環境性能を進化させた最新作。従来品からようやく長いトンネルを抜けた。大型のセダンや高出力車をターゲット。静粛性や上質の乗り心地などは当然のこと、高速スタビリティを加味し走りと乗り心地を兼ね備える。
静粛性や上質の乗り心地を更に加速。また高速スタビリティを加味することで、よりプレミアム性に拘る。最新技術の投入が盛りだくさんでポジショニングを優位に展開する。「PROXES C1S SPEC-a」はフェードアウト。
グッドイヤー
耐摩耗性能向上によるロングライフ化、ドライ路面での優れた操縦安定性、ウエット路面での制動距離短縮を強調。従来品に対してレベルアップの次元が異なる。対象はセダン、ワゴン、ミニバン、軽/コンパクトカーと広範囲だがそれは少し先かな‥
先行販売する欧州では輸入車ユーザーそしてハイブリッド車ユーザーもターゲットにする。ハイブリッドテクノロジー第4世代 G4 の搭載は、転がり抵抗低減と高位なウェット性能を両立。バランス性能が最も主張を高める。
「EAGLE LS3000 HYBRID」の後継。方向性トレッドパターンを継続し、ウェット性能、操縦安定性、静粛性の向上、そして環境性能を謳うプレミアムモデル。快適性や運動性能に対する期待はそれなりに大きい。
ミシュラン
静粛性に優れ上質で快適な乗り心地を提供する「PRIMACY 4」が進化。履き替え時でも発揮する優れたウェットブレーキング性能が長期間にわたり安全性を確保。優れたハンドリング、長期間の使用でも環境負荷の低減に貢献する。
ミシュランのプレミアムコンフォートが第4世代に進化、投入されたのは「PRIMACY 4」。求められる静粛性と省燃費性を確保した上で、履き始めから履き替え時までウェットブレーキ性能の向上を実現。プレミアムコンフォートの完全化を目指す。
ミシュラン史上最高の低燃費性能を誇る。対象は電動車に乗っているユーザー。モーター走行時の静音でも快適な運転環境を提供。具体的には低燃費、静粛性、偏摩耗や急激な排水性能低下を抑え安心が長く続く、という3つを特徴にする。
ピレリ
国内ラベリング制動の低燃費タイヤ規格適合。転がり抵抗係数「AA」(一部「A」)、ウェットグリップ性能「a」。名称の「BLUE」はピレリがF1へ供給するウェットタイヤに因んでのこと。ウェットグリップへの自信あり。
次世代低燃費タイヤ、転がり抵抗係数「A」(一部「AAA」)、ウェットグリップ性能「b」を実現。安全性、燃費性能、持続可能性などを高次元で両立。プレミアム車とクロスオーバー車に向ける最新ピレリハイパフォーマンスサマータイヤ!
左右非対称パターンや、P ZEROシリーズから継承する4本溝の採用など「P7」に比べ新しいトレッドパターンを導入し、転がり抵抗の低減、静粛性、省燃費性能、そして運動性能の向上などが強調されている。
コンチネンタル
常に安心・安全で上質なドライビングを提供。プレミアムコンフォートのサクセスストーリーを継続していく、と強気な姿勢を強調。従来品「PremiumContact 6」から7シーズン目、第7世代に段階的移行を進める中でも重要な位置付け。
プレミアムスポーツ「ContiSportContact 5」と従来のプレミアムコンフォート「ContiPremiumContact 5」を統合、安全性に優れたプレミアムスポーツをテーマに開発されたのが「PremiumContact 6」。