アジアンタイヤがドリフトで利用される理由
モータースポーツで近年人気なのがドリフトです。タイヤを滑らせ白煙をあげながら、豪快に車をスライドさせる。その様を、間近かで見ると迫力に圧倒されます。元々、一部のユーザーには人気があり、また専門誌も発行されそれなりの認知もあったのですが、プロドリフト「D1」が開催されるとその人気に火が付き、今では毎回1万人以上の観客を集めるビックイベントに成長しています。
このような「D1」を頂点とするドリフトですが、専用のサーキットも徐々に増え、底辺の拡大も以前に比較して勢いが見られるようになりました。車を造り、休日に友人たちと走行を楽しむ姿は、自然な形のモータースポーツの姿を見るようで、車好きに取っては好感が持てます。
さて、そのような環境にあるドリフトは、うまくなるには練習が一番。でも、練習するにはお金が必要です。なにせ、タイヤを豪快に滑らせることがその基本ですので、タイヤの消耗は半端ではありません。
一般的な車のタイヤは、3年、3万Kmを越えた時点で、その性能が極端に落ちると言われていますが、その使い方によってはそれ以上のライフが期待できます。
しかし、ドリフトにおいては、その日1日の走行で使用できなくなってしまうことは珍しいことではなく、優しく使っても2、3回の練習で寿命です。 ドリフトの激しい走行では、タイヤのブロックの削れやトレッド面の磨耗はまだまだ序の口。タイヤのトレッド面が剥がれ、ベルトがむき出しになるほどの状態になります。これで終了。
ドリフト用のタイヤは、フロントにグリップ性能の高いタイヤ、リヤにはややグリップ性能の低いタイヤを装着することで、特にアマチュアには滑り出すきっかけが作りやすく比較的ドリフトさせやすいようです。
しかし、リヤに装着するややグリップ性能の低いタイヤでも、国産のそれなりのタイヤでは負担はかなりのものです。これが毎回であったなら相当のお金持ちでないと練習も出来ないのが現実です。
そこで、よく利用されていたのがスクラップ業者から安くタイヤを購入したり、中古タイヤを購入したり、サーキットでの一般的な走行後の廃タイヤを譲ってもらうなどの手段です。これにより、出費を抑えることに努力を重ねている人たちが多かったようです。
但し、この方法では、銘柄もサイズも統一性が難しく、練習の数をこなすとタイヤ毎にアプローチが変わってきてしまうという難点があります。条件を合わせることが望まれました。
そのような環境下で、アジアンタイヤの存在が知られるようになり、価格的な安さ、またアジアンタイヤのスポーツタイヤの性能が、リヤに装着するややグリップ性能の低いタイヤと近い特性であること、そして何といっても「新品」であることが最大の魅力となり、ドリフトユーザーに瞬く間に広がっていきました。今では、アジアンタイヤは定番と言われるまでになり、現在に至っています。
そのアジアンタイヤでドリフトに人気なのが、NANKANG「NS-2」、NEXEN「N3000」、ACHLLES「ATR SPORT」、FEDERAL「SS595」、SONAR「SX-1」、そしてWANLI「S-1097」などのスポーツタイヤです。FEDERAL「595RS-R」はグリップの高さからフロントでもいけるという評価があります。
ドリフトユーザーの本音では、アジアンタイヤよりやはり国産タイヤの高性能なタイヤが理想であることは十分承知のことでしょうが、それでも価格的な面や新品であることから、アジアンタイヤを選択することでドリフトを楽しむことができるのもまた事実です。